薬局経営の基礎知識 SWOT分析って？
nobuSWOT分析って何？
SWOT分析は、企業が自社の強み（Strengths）、弱み（Weaknesses）、機会（Opportunities）、脅威（Threats）を評価するためのツールです。これは企業がビジネス環境を理解し、戦略的な意思決定を行うために役立つ方法です。強みと弱みは主に企業の内部要素を反映しており、その組織がコントロールできる範囲に基づいています。一方、機会と脅威は外部要素で、市場の動向、競争状況、社会経済的な変動など、企業が直接的にコントロールすることが難しい要素を反映しています。SWOT分析を用いることで、企業は自社の現状を把握し、将来の方向性を見定めるのに必要な戦略を明確にすることができます。
調剤薬局業界についてあてはめるとどうなる？
調剤薬局業界を例にしたSWOT分析をご紹介します。
- 強み(Strengths)
- 専門的な知識とスキル: 調剤薬局スタッフは専門的な医薬品知識とスキルを持っており、それは他の一般的な小売業との明確な差別化となります。
- 地域性: 多くの調剤薬局は地域密着型で、地域社会の健康管理という重要な役割を担っています。
- 顧客の信頼: 医師の指示に基づく処方箋を扱うため、調剤薬局は高いレベルの顧客信頼を享受しています。
- 弱み(Weaknesses)
- 労働力不足: 人手不足は医療業界全体の課題であり、特に調剤薬局は専門的なスキルを持った人材の確保が困難なことが多いです。
- 利益圧縮: 保険制度の変更や薬価制度の改訂などにより、利益が圧縮されている調剤薬局も少なくありません。
- 機会(Opportunities)
- 高齢化社会: 日本の高齢化が進行するにつれ、健康管理と医療サービスの需要は増える傾向にあります。これは調剤薬局にとって新たなビジネスチャンスをもたらします。
- ヘルスケア技術の進歩: テレヘルスやAIを活用した診断支援システムなど、新しいヘルスケア技術の進歩は調剤薬局に新たなサービス展開の機会を提供します。
- 脅威(Threats)
- 競争激化: 大手ドラッグストアチェーンやオンライン薬局の台頭により、調剤薬局業界は競争が激化しています。
- 規制の変更: 保険制度や薬事法の変更など、業界を取り巻く規制環境の変化は、調剤薬局の経営に影響を及ぼす可能性があります。
このように、SWOT分析を用いることで、調剤薬局業界の内部と外部の要素を評価することができます。これは、将来のビジネスの方向性を決定する際の重要な情報を提供します。
例えば、高齢化社会という機会がある場合、調剤薬局は高齢者向けのサービスを強化したり、特化した商品を提供したりすることで新たな市場を開拓することができます。さらに、新しいヘルスケア技術の発展を利用し、ITを導入することで、遠隔地に住む顧客や移動が困難な顧客に対するサービスも提供できます。
一方、人手不足や利益圧縮といった弱みが存在する場合、効率化を図るための戦略を立てることが重要になります。人材獲得や育成に投資を行ったり、AIや自動化技術を導入して労働力を節約したりすることも考慮することができます。
また、競争激化という脅威に対抗するためには、自社の差別化戦略を見直すことが必要です。特に地域密着型のサービスや顧客信頼といった強みを生かした戦略が有効となるでしょう。
規制の変更という脅威については、定期的に規制環境を監視し、必要な対応を早めに行うことで対処できます。さらに、業界団体や専門家と連携し、新たな規制が自社の業績にどのように影響を与えるかを理解することも重要です。
SWOT分析を通じて、調剤薬局は自社の強みと弱みを理解し、市場の機会を探し、脅威を予測することができます。これにより、薬局は成功するための戦略を明確に立案し、それを行動に移すことが可能となります。
今回の例は調剤薬局業界でしたが、SWOT分析は、より具体的な分析対象に対して行うほど、その結果は有用なものになります。具体的な分析対象を定めることで、特定のビジネス環境や市場条件に対応した詳細な戦略を策定することが可能になります。
SWOT分析の結果をどう使う？
SWOT分析を行った後の戦略立案は、その結果に基づいて、どの要素に焦点を当てるべきかを決定します。そしてそれは、あなたのビジネスの状況、目標、およびリソースに大きく依存します。
一般的に、戦略立案の際のアプローチは以下のようになるでしょう。
- 強み（Strengths）の最大化と機会（Opportunities）の活用: あなたのビジネスが得意とする分野を利用して、機会を活用する戦略を立てます。例えば、あなたの薬局が顧客サービスにおいて特に評価が高い場合、新たに開かれた市場で新規顧客を獲得するために、この強みを活用することができます。
- 弱み（Weaknesses）の削減または克服: あなたのビジネスの弱点を理解し、それを改善するための戦略を立てます。たとえば、あなたの薬局が最新のデジタル技術を十分に活用していないとすれば、この弱点を改善するために、新たなテクノロジーの導入を検討することがあります。
薬局でいえば、
S：地域の方に信頼されているという強みを活かして、O：高齢になりなかなか外出できない方の健康管理をする。
W:人手不足はIT化を利用して克服する
T:大きな脅威（アマゾン薬局等）があればなんとか回避する等、いろいろな戦略が考えられます。
一度薬局の現状把握・戦略策定にSWOT分析を使用してみてはいかがですか？
最後までお読みいただきありがとうございました
